外国人労働者の転職について
最終更新日:2024年10月20日 行政書士 勝山 兼年
就労ビザ資格者は転職が可能なのか?
在留資格が「技能」や「技術・人文知識・国際業務」の外国人が同業他社に転職することは可能です。従事する業務など活動内容が同じであって、会社の事業規模が外国人材を受け入れる水準であれば、次回、出入国在留管理局での在留資格更新許可申請も許可される可能性もあります。ただし、その外国人材に与えられている就労ビザは退職した会社でなされているのであって、再就職先の会社ではありません。
所属機関等に関する届出
勤務先が変わっただけでは、従事する活動の内容が変わらなければd在留資格変更許可申請は必要ありません。ただし、従事する活動内容が変わった場合は在留資格も変更する必要な場合もあります。
在留資格変更が必要な場合の事例
- 調理師「技能」→独立して経営者「経営・管理」
- 高校の英語教師「教育」→英会話学校の講師「技術・人文知識・国際業務」
在留資格変更が不要な場合の事例
- エンジニア「技術・人文知識・国際業務」→プログラマー
- 中国料理コック「技能」→勤務先の店を移っただけ
※それぞれの従事する業務に応じた在留資格該当性の証明が求められます。
元の会社を辞めて再就職するなど勤務する会社が変わった場合、「所属機関等に関する届出」を14日以内にしなければなりません(入管法十九条十六)。郵送での届出でも受け付けられます。届出を怠ると次回更新時の審査において、不利益に斟酌される可能性があります。
気をつけなければならないのは、職場が同じでも派遣社員が直接雇用になった場合でも、所属機関が変わったことになるため届出が必要です。また、「経営・管理」の者が会社を移転した場合も届出する必要があります。
※前勤務先退職後直ぐに就職しない場合は、退職したことについて「所属機関等に関する届出」をする必要があり、就職後は入社したことは同様に「所属機関等に関する届出」をすることになり、二度することになるのです。
外国人雇用状況の届出
外国人を雇用した際には管轄のハローワークに「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています。この届け出は留学生のアルバイトやパートタイマーでに従事させる場合も同様です。
在留資格更新許可申請で注意すること
前回許可時と同一の会社に在籍した状態で更新許可申請をするのとは違い、所属先の会社の概要や従事する業務について詳細かつ客観的に証明しなければなりません。最初に在留資格を許可された時と同等レベルです。資格該当性が認められない場合は更新が不許可となり日本を出国することになるのです。
就労資格証明書
在留期間の満了日までに、まだ期間がある場合に現勤務先での就労に資格該当性があるのか不安である場合、「就労資格証明書」の交付申請をお勧めします。転職後直ぐ申請は可能です。就労資格証明書が交付されますと、出入国在留管理局では在留資格の該当性があるとみなされますので、次回更新時に従事する業務の内容などの証明は省かれます。もし、就労資格証明書が不交付の場合は、さらに転職し、在留資格該当性のある会社に所属すればよいのです。
外国人材転職の事例
- 従事する業務が同じ内容での転職
香港出身のW君は本国の大学でIT関連の科目を履修し学位を受けました。日本で暮らすこと希望しアプリ開発会社で採用され達ため、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得て来日し、プログラマーとして働き始めました。数年経過後、PCインディーゲームに夢中になったW君は自身でもゲーム製作に携わりたいとの希望を持ち、ゲーム開発会社にて面接を受け採用されました。それまでの勤務先を退職し、新たな会社に転職しましたが、まず、出入国在留管理局に「所属機関等に関する届出」をしました。従事する業務の内容は新たな会社でもプログラミングですが、在留資格該当性があるのか不安でしたので就労資格証明書交付申請をしました。そして在留資格該当性があると認められ証明書が交付されました。
- 派遣元の会社を変更した
ベトナム出身のX氏は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得て、派遣登録元から金属加工の会社でエンジニアとしてCNC旋盤機のプログラミングの業務に就いていました。職場には別の派遣会社に登録して同じ業務をするベトナム人がいました。待遇が自身の派遣会社より、同僚会社の方がよさそうだったので、X氏は派遣元を変更しました。そこで出入国在留管理局に「所属機関等に関する届出」をしましたが、派遣先と従事する内容に変更はなかったので、就労資格証明書交付申請はしませんでした。
- 所属機関等に関する届出をする。
- 就労資格証明書交付申請をしておくと安心。!
- 実務経験10年(国際業務は3年)であれば学歴なくてもよい!!