就労ビザにおいての外国人労働者の給与について
最終更新日:2024年10月19日 行政書士 勝山 兼年
人材確保のための給与
昨今、貿易業などの国際業務だけでなく、製造や開発部門の日本人人手不足により外国人を積極的に採用する会社が増えております。より優秀な人材を確保するために、同業他社の同職種と比較して後れを取らないような金額を設定すればよいと思います。人材の需給供給の市場原理で決定されるでしょう。
賃金支払いの五原則
- 全額払いの原則
所得税、住民税や社会保険料を控除した賃金の全額を支払わなければなりません。(年金や保険料などは外国人であっても加入義務があります。)
- 通貨払いの原則
賃金は銀行振込や現金で支払います。小切手や現物支給は認められていません。
- 直接払いの原則
原則として外国人本人に直接賃金を支払います。(本院が入院中などの場合は家族が代理で受け取ることは許されます。)
- 毎月一回支払いの原則
奨励金や賞与は別として、賃金は月一回以上支払わなければなりません。
- 一定期日払いの原則
給与の支給日は毎月25日などと特定しなければなりません。支給日が休日と重なった場合について、繰り上げか繰り下げるのかを定めておかなければなりません。
就労ビザ許可を得るための給与
労働基準法や最低賃金法、社会保険や労働保険に関する法律は、労働者の国籍とは関係なく、日本国内の事業所や現場で働く外国人にも適用されます。人件費を抑制するために安い給与で生産性を維持しようとする考えではいけません。
また、出入国在留管理局での審査基準に「職種、学歴、年齢などの日本人と同等以上の給与」とされています。同職種で同学歴の日本人がいればそれを参考に決めればよいと思われます。専門性のある職種で社内に参考にする社員が居ない場合は、社外の同職種の求人票などを参考にしてください。
給与体系は通勤手当などは基本給与に含まれません。残業代は含まれます。在留期間更新許可申請時において、一年間の給与支払いについて、審査の対象とされますが、ギリギリの給与であっても残業代が多かった事で、許可がなされることもあります。
就労ビザの審査のポイント
在留資格申請の際に、外国人を雇用するための条件をしました書類の提出を求められます。日本人を採用する際に取り交わすものでかまいません。「雇用契約書」、「雇用通知書」や「労働条件通知書」などです。これらの書類に給与や各種手当などの記載がなければなりせん。就業規則に準じて作成されると思われますが、就労ビザの外国人を雇用する場合気を付けることがあります。在留資格該当性として「日本での在留活動が安定的、継続的に行われることが見込まれること」とあります。基本給が少なく、歩合給が比率が多くなると安定的ではないとみなされ就労ビザは許可されない事があります。基本給に該当する部分は週40時間勤務で最低賃金を下回らない内容にしておくことが必要なのです。尚、雇用契約の内容は期間契約社員やアルバイト契約であっても構いません。安定的・継続的に活動が行われる内容であればいいのです。
※基本給と同等にみなされるものは職能給や役職手当などで、勤務状況で金額が増減しないものなどです。
家族滞在や永住者への申請において給与
外国人雇用者も日本の生活に慣れてくると、本国より家族を呼び寄せたり、その家族とともに永住許可を取ろうとしたりする事が予想されます。当然独身世帯野と時の最低給与より、多く給与が支払われていなければそれらの許可はなされません。家族滞在でしたら、家族一人増えるのでしたら、5万円程増やしてください。永住許可申請では家族一人当たり80万円程度を基準としているようです。(例:4人家族では80万円×4人=320万円)尚、家屋滞在で滞在中の配偶者のパート代などは含めてもらえません。
- 給与の額は同一労働の日本人と同額にしなければならない。
- 外国人材が日本で生活するだけの金額にしなければならない。
- 都道府県の最低賃金を上回らなければならない。