就労ビザのうち技術・人文知識・国際業務とは?
最終更新日:2024年11月9日 行政書士 勝山 兼年
外国人労働者が会社員として働く就労ビザ取得の解説!
日本の就労ビザにおける「技術・人文知識・国際業務」は、技術者や専門家に対して付与される在留資格です。具体的には、自然科学や工学の分野(技術)、法律学や経済学などの人文科学の分野(人文知識)、そして翻訳や通訳などの国際業務を担う者が対象となります。これらは、それぞれの分野で高度な知識やスキルを必要とする業務に従事するための就労ビザですので単純労働は認められていません。この就労ビザを取得するには、大学卒業、専門資格の保有などが審査の対象となり、雇用先の業務内容や規模も考慮されます。これらのビザの取得方法や該当例、さらにはビザ申請に必要な書類など、詳細にわたって解説します。
技術・人文知識・国際業務での仕事とは!?
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は自然か科学の分野である技術、社会文科系の分野である人文知識、翻訳通訳などの国際業務に別れます。これらそれぞれの領域の知識を必要とする業務に従事するための就労ビザです。専門知識を身に付けていること証明するために大学等を卒業したり、資格を持っているなどが審査の対象です。また、雇用する会社の業務内容や規模が外国人の専門職が必要であるのかも問われます。
- (1)日本の公私の期間との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野(技術)
情報工学、システムエンジニア、プログラマー、宇宙工学、機械工学等、その他専門技術、専門知識を必要とする業務
- (2)法律学、経済学、社会学、その他の人文知科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務(人文知識)
法務、財務、企画、営業等
- (3)外国の文化に基盤を有する思考、もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動(国際業務)
翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝、海外取引、服飾・室内デザイン等 に従事するためには、原則として、関連業務に3年以上の実務経験があることが必要です。ただし、大学等を卒業した者については、3年以上の実務経験がなくても認められます。
(企業内転勤などの一部業務は除きます)
技術・人文知識・国際業務ビザ該当例
機械工学等の技術者、システムエンジニア、プログラマー、通訳者、翻訳者、語学学校教師、海外取引、広報、宣伝、服飾・室内デザイン、商品開発、アナリスト、トレーダー、システムエンジニア、その他の業務に従事
技術・人文知識・国際業務ビザ契約形態
「契約」には、一般的な雇用のほかに、委任、委託、嘱託等も含まれるが、特定の機関との継続的な契約でなければならない。なお、原則として複数の機関との契約であっても問題はない。
就労ビザの採用・招へい理由書のポイント
申請人を採用・招へいすることにより会社の業績向上が予測できるのか!どうしてその外国人なのか!を下のポイントを明確にしたうえで作成します。
- 会社の概要説明(売上高、業務内容)
- 海外との取引状況
- 事業計画
- 業務遂行上の問題点
- 既存社員の状況
- ネイティブの必要性
- 採用に至った経緯
- 申請人の能力との関係
- 申請人の仕事の予定
- 申請人の卒業学校と卒業年度
※最後に雇用主の会社名や代表者名も記載し捺印までもらうようにします。
技術・人文知識・国際業務の者のアルバイト
在留資格が技術・人文知識・国際業務の者がアルバイトをしたい場合は、在留資格審査で認めらた仕事の内容と一致するのであれば、他の会社などで報酬をもらってすることは認められています。資格外活動許可もふようです。収入の申告、納税は必須です。しかし、通訳者として技術・人文知識・国際業務の在留資格を得ている者が、コンビニエンスストアの店員としてでアルバイトをしたり、コンピュータープログラマーが建設作業のアルバイトをしたりすることは認められておらず、資格外活動許可を取得しても同様です。資格外活動許可が必要な時とは、活動内容が同じでも、所属機関や活動の対象が異なることで在留資格が変更してしまうときなどです。例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」のもで英会話学校の講師をしている者が、高等学校の英語教師をアルバイトでするときなどです。高等学校で英語の教師をするのは在留資格は「教育」になります。英語を教える活動は同じでも、対象が英会話学校と高等学校では在留資格が異なるので、資格外活動許可が必要となるのです。
技術・人文知識・国際業務の取得事例
- コンピュータープログラマーとして働く
マレーシア出身のFさんは本国の工業大学でコンピューターサイエンスを学び、学位を取得しました。子供の頃から日本御アニメが大好きだったFさんは憧れも日本でも学び働きたいと、留学し1年間日本語学校で日本語を学びました。日本語でのコミュニケーションに自信を持つようになったFさんは自身の知識を活かせる仕事を探し、自動車メーカーのコンピューターエンジニアの募集に応募し、採用されました。自信を書類を揃え、出入国在留管理局に対して在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」にする変更する申請を行い、相当性と許可基準が満たされているとのことで、在留資格変更が許可されました。
- エンジナとして働く
自動車部品のメーカーのA社では、慢性的に人手不足で特に設計部門の人材が足りませんでした。日本人を対象にエンジニアを募集していましたが、売り手市場の新卒はもちろん、中途採用も応募が殆どありませんでした。人材あっせんの会社からベトナム人のエンジニアを承継できるとの提案があり、A社ではリモートで紹介されたベトナム人と面接しました。経験も十分で人柄も協調性があり相談たので採用することにしました。ただ、日本語能力に難があるので、パート従業員で日本人と結婚しているベトナム国籍の女性に通訳をしてもらうことで対応することにしました。F社人事課長が代理人となって、従事させる業務の内容を配線の設計として書類を作成し、出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請をしました。一か月ほどで「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書が交付されました。その後ビザの発給を得て、ベトナム人エンジニアがF社で働き始めました。 。
- 海外貿易事務担当として働く
N社は産業ロボットのメーカーで、それまで中国関連工場で製造したものを中国の日系企業に販売していました。しかし、中国での治安悪化を恐れて、日本人社員から中国赴任を断る者が続出し、中国関連工場の稼働は困難と判断し、清算するに至りました。ところが、日本工場で生産したものを、これまでのと中国の取引先に輸出販売する必要が生じました。これまで、日本から部品等を中国に輸出していましたが、この貿易手続きは中国関連工場のスタッフが担当していました。N社では中国関連工場のスタッフで優秀なものを日本の本社工場で雇用し、中国での輸出手続きの担当とすることに至りました。候補となったK氏は大学をでていませんでしたが、日本語検定N1と中国工場での貿易事務の実務経験が8年としか資格該当性が十分にありました。N社総務課課長が代理人として出入国在留管理局に申請し、在留資格認定証明書「技術・人文知識・国際業務」が交付され、K氏は日本の本社で働けるようになりました。
- 会社員として働く在留資格。
- 学歴、又は実務経験10年以上が要件!
- 認められた同じ職種なら、他社で働くことも認められる!