外食業・宿泊業での特定技能

最終更新日:2024年11月7日   行政書士 勝山 兼年





一定の要件を満たせば外食業・宿泊業での単純労働が認めれるようになりました!

特定技能の意義

 これまでの外国人就労ビザでは居酒屋やレストランなどの外食業、ホテル、旅館などでの宿泊業では調理補助や清掃、給仕などの業務に従事することを認められませんでした。これは日本人の雇用を奪い日本人の賃金の上昇を妨げるものであるとの考えだったからです。しかし、少子高齢化の中で労働力不足が逼迫するおり、実態として外国人留学生アルバイトがこれら業種の労働力不足を補ってきました。しかし、本来学業のために日本に来た留学生であるにもかかわらず、授業を真面目に受けず専らアルバイトばかりする者が増加し、在留資格制度がゆがめられてきました。

 2019年4月より、在留資格「特定技能」創設されました。在留資格「特定技能」は外食業や宿泊業でアルバイトをしていた外国人留学生が試験を受けて合格すれば、労働時間に制限も無くフルタイムで働くことを法的に認める制度なのです。

特定技能で認められる業種とは

 特定技能で認められるのは14業種あります。このうち外食業と宿泊業以外の製造業では技能実習生からの変更が主になります。外食業と宿泊業では技能試験を経てのになります。




特定技能で認められている14業種一覧
  • ① 介護
  • ② ビルクリーニング
  • ③ 素形材産業
  • ④ 産業機械製造業
  • ⑤ 電気・電子情報関連産業
  • ⑥ 建設
  • ⑦ 造船・舶用工業
  • ⑧ 自動車整備
  • ⑨ 航空
  • ⑩ 宿泊
  • ⑪ 農業(派遣可能な2業種のうち1つ)
  • ⑫ 漁業(派遣可能な2業種のうち1つ)
  • ⑬ 飲食料品製造業
  • ⑭ 外食業

外食業・宿泊業での特定技能の外国人の就業可能な営業形態

 外食業ではテイクアウト専門店・宅配専門店を含む飲食物の調理、提供にともなう店舗です。店舗での調理が無く料理の配達だけを請け負う業態では認められません。また接待を伴う風俗営業法の社交飲食店では一切認められません。


外食業・宿泊業での任せられる業務

 就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」では認められない、管理や接客、販売業務に従事することも認められております。


外食業 宿泊業
任せられる業務 外食業:飲食物調理、接客、店舗管理 宿泊業:フロント、企画、広報、接客及びレストランサービス等
外食業・宿泊業での任せられる業務

外食業・宿泊業での特定技能の外国人の取得要件

 性別に関係なく18歳以上の者で学歴などの要件はありません。技能水準試験と日本語能力試験に合格していることです。

  • 18歳以上の男女
  • 日本語能力試験N4以上
  • 技能水準試験合格
日本語能力試験合否結果通知書

 日本語能力試験とは「日本国際教育支援協会」が主催する試験です。外国での試験は「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格となります。技能水準試験は外食業と宿泊業でそれぞれ実施されています。

  • 外食業・・・一般社団法人外国人食品産業技能評価機構
  • 宿泊業・・・一般社団法人 宿泊業技能試験センター





外食業・宿泊業での特定技能の雇用主の取得要件

支援計画

 受入れ機関である雇用主は特定技能で雇用した外国人の日本での生活を全面的にサポートをする必要があります。具体的には日本語学習の機会や日本文化になじむための補助、定期的な面談や相談・苦情の対応などを行います。留学生など既に日本での生活を経験しており、独りでの生活が可能であったとしても支援計画を作成し実施しなくてはなりません。支援を実行することについて 登録支援機関に一部または全部を委託することができます。支援の内容は以下の通りです。



  • ①事前ガイダンスに関する義務的支援
  • ②出入国する際の送迎に関する義務的支援
  • ③住居確保や生活に必要な契約に関する義務的支援
  • ④生活オリエンテーションに関する義務的支援
  • ⑤日本語学習の機会の提供に関する義務的支援
  • ⑥相談・苦情への対応に関する義務的支援
  • ⑦日本人との交流促進に関する義務的支援
  • ⑧転職支援に関する義務的支援
  • ⑨定期的な面談・行政機関への通報に関する義務的支援

雇用契約

 直接雇用でなくてはならず。派遣契約ではダメデす。労働時間は労働基準法に則った他の労働者と同様にしなければなりません。また、給与は同職種同経験者の日本人と同等以上でなくてはなりません。上記のとおり、外国人であることで雇用条件を日本人より低くすることは一切認められて降りません。受入れ機関である雇用主は支援計画を実行するための経費を給与や待遇などで穴埋めすることは禁じられております。

協議会に加入

 外食業・宿泊業では外国人受入れ機関である雇用主はそれぞれの協議会に加入することが義務付けられています。加入の時期は在留資格変更が許可されたのち4ヶ月以内です。外食業・宿泊業での協議会加入に際しての費用はかかりません。加入方法は協議会のホームページ入力フォームよりしてください。

  • 外食業・・・食品産業特定技能協議会(農林水産省管轄)
  • 宿泊業・・・宿泊分野特定技能協議会(国土交通省観光庁管轄)





在留資格変更許可申請書

外食業・宿泊業での特定技能への在留資格変更許可申請提出書類一覧




申請人外国人に係わる書類
  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 申請人の写真(4×3センチ)
  3. 特定技能外国人の報酬に関する説明書(第1-4号)
  4. 特定技能雇用契約書の写し(第1-5号)
  5. 雇用条件書の写し 別紙 賃金の支払い(第1-6号)
  6. 雇用の経緯に係る説明書(第1-16号)
  7. 徴収費用び説明書(第1-9号)
  8. 健康診断個人表 ※別紙 受診者の申告書(第1-3号)
  9. 1号特定技能外国人支援計画書(第1-17号)
  10. 登録支援機関との支援受託契約に関する説明書(第1-25号)
  11. 直近1年分の個人住民税の課税証明書及び納税証明書
  12. 給与所得源泉徴収票の写し
  13. 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
  14. 申請人の国民年金保険料領収証書の写し 申請人の被保険者記録照会
  15. 公的義務履行に関する誓約書(税金の滞納があるが場合のみ)(第1-26)
  16. 技能試験合格証明書の写し
  17. 日本語検定認定書の写
  18. パスポート 提示
  19. 在留カード 提示
受入機関の雇用主に係わる書類
  1. 特定技能外国人の在留書申請に係る提出書類一覧表
  2. 特定技能所属機関概要書(第1-11号)
  3. 登記事項証明書
  4. 業務執行に関与する役員の住民票の写し
  5. 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(第1-23)
  6. 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
  7. 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収書の写し
  8. 税務署発行の納税証明書 その3
  9. 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分)
卒業証明書

※上記は提出書類の一部です。個別状況により他の書類に提出も求められます。

※許可が成されれば手数料4,000円の収入印紙

特定技能(在留カード)

特定技能の更新手続き

 特定技能は1号と2号に別れます。1号は在留機関は1年と決まっており、毎年更新許可申請をしなければなりません。特定技能1号を5年間継続すると2号に移行できます。特定技能2号では在留期間は最長5年で外国籍家族の帯同も認められます。




「特定技能」の取得事例

留学生がアルバイト先に就職する。

 ベトナム出身のV君は、高校を卒業後日本に留学し日本語学校に通っていました。資格外活動許可を得て、焼鳥店でアルバイトをしていていました。V君は日本語学校卒業を控え、進路に迷っていたところ、焼鳥店を運営する会社の社長がV君の働きぶりを見て、正社員としてこのまま働期続けてほしいと提案されました。V君は飲食業の面白さに気付き始めていたので、会社の提案を受けることにしました。V君は日本語検定N3に合格していたので、改めて外食業技能測定試験を受験し合格しました。会社は登録支援機関との契約、宿泊分野特定技能協議会にも加入するなど、申請条件を満たしてくれました。V君は出入国在留管理局に対して「留学」から「特定技能1号」への在留資格変更許可申請をしました。1か月ほどして変更が許可され、直ぐに正社員としてフルタイムで働き始めました。


まとめポイント
  • 特定技能では調理や接客の業務に従事できるようになった!
  • 雇用契約は日本人と同等以上にしなくてはならない!
  • 日本での生活支援計画に則て実行しなくてはならない!



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