外国人材のホテル・旅館等での就労ビザ
最終更新日:2024年10月20日 行政書士 勝山 兼年
外国人労働者がホテル・旅館で働く就労ビザ取得の解説!
日本のホテルや旅館で働くための外国人労働者のビザ要件が厳しく定められています。人手不足に悩む宿泊業界では外国人の積極的な採用が進んでいますが、その際に必要となる在留資格は「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」であり、特定の要件が求められます。一方で、「永住者」や「日本人の配偶者等」など特定の在留資格を持つ外国人には就労制限が無いこと、また留学生や特定活動の在留資格者も一定の制約下で働くことが可能であることをご紹介します。ビザの取得に関する具体的な許可事例や不許可事例、特例についても詳しく解説します。
企画や営業職として働く在留資格該当性
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性において、外国人の母国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする場合や、大学や専門学校で学んだ当該技術もしくは知識の関連する業務でなければなりません。具体的には母国語を必要とする外国人客相手のフロント業務、旅行会社に外国人向けの宿泊パックの企画、外国人客専用のホテル専用のWEBサイトやパンフレットの作成です。清掃や別途メイキング、荷物運びやレストランでの配膳などは単純労働とみなされ「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は認められません。
ホテルでの就労ビザ許可事例
- 中華人民共和国に限らず、台湾、香港など中国語が母国語の者が中国人宿泊客が多く訪れるホテルでのフロント業務に従事する。
- 観光学(国際コミュニケーション学、リベラルアーツ学、観光ビジネス学)を学んだ者が習得した知識を活かして外国の旅行会社向けの宿泊パックに企画・広報業務に従事する。
- WEBサイトのプログラミングを学んだ者が、習得した知識を活かしてホテル専用の外国人向けのWEBサイトやパンフレットの作成に係る業務に従事する。
- 英語を母国語とする者が外国人宿泊客が多いホテルで施設案内、また、同ホテルの日本人従業員に対し英語を用いた接客方法を指導する業務に従事する。
ホテルでの就労ビザ不許可事例
- 大学で経営学を学んだ者が、専ら客室の清掃やメイキング業務に従事する。これらの業務は単純労働とみなされ、外国人申請人の学歴が相当だとしても許可されません。
- 外国語学部を卒業した者が、ホテル内のレストランで配膳作業に従事する。例え、外国人客が多いホテルでの外国語での応対をする場面が多いとしても、主たる業務が配膳であれば単純労働とみなされ許可されません。
- WEBサイトのプログラミングを学んだ者が、外国人向けの専用サイトの作成に係るとしても、月給が16万円だった場合は許可されません。同業他社の日本人の給料と比較して、同等でなければなりません。
ホテルの研修の一環として、相当な期間内に清掃や配膳などの単純労働をさせることは認められますが、その場合は職務内容に必要な研修内容であることを合理的に説明する書面を求められます。
外国人がホテルで就労する場合の例外
- 「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者」などの在留資格者は就労に制限がなく。どのような業務に従事してもかまいません。
- 「留学」の在留資格者が資格外活動許可を得て、決められた時間内に働くことは認められています。従事する業務にも制限はありません。
- ワーキングホリデー制度を利用して「特定活動」の在留資格者も従事する業務に制限なく働けます。
- 参加団体が主催する試験に合格し「特定活動」の在留資格者が得た者も、決められた業務に従事することができます。
- 「特定活動46号」の在留資格者が得た者で、通訳翻訳業と現場作業の両方に従事することができます。
外国人材のホテルでの就業の事例
- 技術・人文知識・国際業務でホテルでの就業
留学生として専門学校に通う中国出身のIさんは観光業について学んでいました。卒業後も日本で働きたく、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可を得てホテルに就職しました。Iさんのホテルでの業務は主な宿泊客の中国人への接客やトラブルの対応と、中国旅行会社への集客のための宣伝やイベントの企画などです。
- 特定技能でホテルでの就業
留学生として日本語学校に通うベトナム出身のG君は観光業興味がありました。勉強よりも働くことを好んだG君は専門学校などに進学せず、国土交通省主催の技能試験に合格し、日本語検定N4も取得したため、日本語学校卒業時に採用されたホテルで就職すべく在留資格を「留学」から「特定技能」に変更する許可申請をしました。在留資格変更後、G君はホテルで接客の他、清掃やベットメイキング、アルバイトの管理など、多くの職種をこなしました。