現場労働可能な特定活動46号とは
最終更新日:2024年12月7日 行政書士 勝山 兼年
幅広い業務に従事できる在留資格!?
特定活動46号は高度な日本語能力を持った留学生が「技術・人文知識・国際業務」に該当しない職種に就く場合でも就労可能とする在留資格です。就業先で母国語や英語の通訳翻訳業務をしながら、製造や接客などの現場業務に就くことも認められています。留学生アルバイトや技能実習生が働く職場での指導係的な業務が想定されています。日本語能力や学歴について高度で厳格な基準が定められていますが、それまで「技術・人文知識・国際業務」で認められなかった幅広い業務に従事することができるのです。
日本で既に在留資格が「特定活動46号」で働く外国人を採用する流れ
転職希望の外国人を採用する場合、採用後の業務の内容が「技術・人文知識・国際業務」としての活動であれば、出入国在留管理局への簡単な届出だけで就労可能です。ただし、出入国在留管理局は転職後の会社の業務や外国人の学歴、資格などのスペック(在留資格相当性)については在留資格を許可しているわけではないので、次回の在留期間更新の際に、不許可になることも予想されます。不許可になった場合は雇用の継続はできませんので、それまで外国人にさせてきた経験や知識が無駄になってしまします。また、外国人本人も在留期限間近の状況で他の会社に転職する間もなく、時間切れで本国に帰国するなど労使双方とも痛手が大きくなるのです。
そのようなことを回避するために「就労資格証明書」があります。これは転職後に転職先会社の概要や従事する業務に就いての書類を出入国在留管理局に提出します。審査を経て「就労資格証明書」が交付されましたら、転職後の会社での就労に出入国在留管理局のお墨付きを得たものとなるのです。次回の在留期間更新の際も簡単な書類で許可が可能となり労使双方が安心して働けるのです。
技術・人文知識・国際業務との違い
留学生が大学などを卒業し会社に採用された場合の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」が主でした。この「技術・人文知識・国際業務」の活動は大学等で学んだ知識の専門性を活かした業務に従事することが求められています。ですので、工場のライン作業やオペレーター、飲食店での接客などは認められない活動となります。一方、「特定活動46号」は通訳翻訳業務に従事しながら、「技術・人文知識・国際業務」では認められていない、現場での作業に従事することも認められています。
許可要件の違いについては「特定活動46号」は日本の大学又は大学院卒業で一定以上の日本語能試験合格が求められており、一定期間の実務経験でも許可される「技術・人文知識・国際業務」よりは厳格な要件となります。
特定活動46号の能力要件
能力要件は 学歴と日本語能力の両方を満たしていることが必須です。
- 日本の4年制大学又は大学院を卒業・修了し、学位を授与された者。
- 日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する者。
短期大学、専門学校卒業では要件は満たさせません。母国の大学で日本語学科を卒業していれば日本語能力が有ると認められますが、その場合であっても日本の大学。大学院卒業は必要です。
| - | 技術・人文知識・国際業務 | 特定活動46号 | |
|---|---|---|---|
| 職無内容 | 専門性のあるもの、現業は認められない。 | 専門性のあるものと現業の両方従事できる。 | |
| 許可要件 | 実務経験 | 認められる 。 | 認められない。 |
| 学歴 | 短大、専門学校、海外の大学卒業も認められる。 | 日本の大学・大学院卒業者のみ。 | |
| 日本語能力 | 必須ではない。 | N1又はBJT能力テストで480点以上。 | |
特定活動46号の活動事例
- 飲食店での就業
飲食店で外国人客との通訳も含めた接客や留学生アルバイトの指導をしながら、店舗管理業務に従事する。
- 製造業での就業
技能実習生や他の外国人への業務指導をしながら、工場の製造ライン機械操作や組立作業に従事する。
- 小売店での就業
外国人客への商品説明や留学生アルバイト達への業務指導をしながら、仕入や商品企画の業務に従事する。
- 宿泊業での就業
フロントなどでの外国客への通訳をしながら、外国人接客マニュアル作成や、旅行企画の業務に従事する。
- 介護施設での就業
外国人従業員や技能実習生などへの業務指導をしながら、日本語での介護業務に従事する。
就労ビザ(特定活動46号)の取得事例
- アルバイト先で就職する。
中国出身のLさんは留学生として来日し、日本語学校を卒業したのち文系学部の大学で学んでいました。日本語検定もN1を取得し、卒業後の進路について考えるようになりました。Sさんは日本のパンの押しささに感動し、自身もパン工房でアルバイトをしていました。その工房では他にも数人の留学生アルバイトがいました。Sさんは卒業後もパン製造を続け得て将来は、中国でパン屋を開きたいとの希望を持つようになりました。そこで、卒業後はパン工房に就職し、パンの製造と留学生アルバイトの管理の業務に就くことになりました。在留資格を「留学」から「特定活動46号に変更申請し、許可後正社員としてパン工房で働き始めました。






