外国人材の居酒屋・レストラン等での就労ビザ

最終更新日:2024年11月91日   行政書士 勝山 兼年





居酒屋・レストラン等で就労するためには従事する業務に応じた在留資格を取得しなくてはなりません。

 昨今、人手不足の業界である飲食業関連では外国人の積極的な採用が増えています。外国人材が居酒屋・レストラン等で就労する場合は従事する業務に応じた在留資格を取得しなければなりません。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」で働く

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性において、外国人の母国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする場合や、大学や専門学校で学んだ当該技術もしくは知識の関連する業務でなければなりません。具体的にはレストランチェーン専用のWEBサイトやパンフレットの作成です。店舗数の少ない会社では、認められた業務に従事する時間が少ないとみなされ許可されません。また、清掃や別途メイキング、荷物運びやレストランでの配膳などは単純労働とみなされ「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は認められません。


居酒屋・レストラン等で働くための「技術・人文知識・国際業務」の要件

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するため人的要件として、学歴要件があります。




  • ① 従事しようとする業務について、当該技術または知識に関連する科目を専攻して大学を卒業、もしくはこれと同等以上の教育を受けたこと。
  • ② 従事しようとする業務について、当該技術または知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと(ただし、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与された者に限る)。
  • ③ 10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程または専修学校の専門課程において当該技術または知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。

 具体的には①は国内、海外を問わず大学又は短大以上を卒業し学位が有る者です。関連する科目とは文系、語学系の学科で、日本語学の単位を取得していることがより望ましいです。②は日本国内の観光学科系の専門学校を卒業し「専門士」または「高度専門士」を取得しているものです。③はホテルなどで10年以上勤務した経験があるものとなります。

 飲食店チェーンの店舗ではなく、管理センターや本社の企画部などで外国人客に特化した、接客マニュアルやメニュー表の作成発などで許可が認められやすいです。


 居酒屋・レストラン等の研修の一環として、相当な期間内に清掃や配膳などの単純労働をさせることは認められますが、その場合は職務内容に必要な研修内容であることを合理的に札明する書面を求められます。




在留資格「特定活動46号」

 在留資格「特定活動46号」は上記の「技術・人文知識・国際業務」よりも幅広い活動が認められています。居酒屋・レストラン等で働く外国人留学生アルバイトの指導係などは「技術・人文知識・国際業務」では認めらていませんが「特定活動46号」では認められます。また、現場での調理、接客、店舗管理に従事することも認められています。

 能力要件においては、日本の大学又は大学院を卒業していなくてはなりません。また、日本語能力として語日本語検定N1または専攻は「日本語」でなければなりません。

特定活動46号の概要

 本制度は,本邦大学卒業者が本邦の公私の機関において,本邦の大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか,留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として,幅広い業務に従事する活動を認めるものです。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては,一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんが,本制度においては,上記諸要件が満たされれば,これらの活動も可能です。ただし,法律上資格を有する方が行うこととされている業務(いわゆる業務独占資格が必要なもの)及び風俗関係業務に従事することは認められません。

特定活動46号において居酒屋・レストラン等で働くための外国人の能力要件
  • 日本の大学・大学院を卒業していること御
  • 日本語能力検定N1 or BJTビジネス日本語能力テスト480点以上または大学又は大学院において「日本語」を専攻してていること




在留資格「特定技能」で働く

 在留資格「特定技能」は平成31年4月にスタートした制度です。「技術・人文知識・国際業務」では認められない飲食物調理、接客、店舗管理などの外食業全般をすることが認められています。 外食業全般に係わる業務とは店舗において原材料として使用する農林水産物の生産,客に提供する調理品等以外の物品の販売等を付随敵に従事することは認められています。




 「特定技能」の人的要件は大学や専門学校を卒業している必要はなく特定技能能力試験合格とN4以上の日本語能力を求められるだけです。例えば、本国で高校卒業者であっても「留学」の在留資格で日本に在留中に上記の試験に合格さえすれば要件を満たすことになります。経済的に進学が難しい者であっても日本で就労ビザが取得できる最短の制度なのです。

 一方外国人を採用する側である雇用主は「技術・人文知識・国際業務」にはない、外国人支援計画を作成し実施しなくてはなりません。自社で支援を行うのであっても相当な労力が必要です。また、支援計画実施に当たって一部または全部を登録支援機関に委託することが認められています。この場合は登録支援機関への委託費用が給料以外のコストとなるのです。


居酒屋・レストラン等で働くための「特定技能」の要件

外国人の能力要件
  • 18歳以上の男女
  • 外食業技能測定試験に合格
  • 日本語能力試験N4以上
雇用主の要件
  • 法令に基つく許可等を受けている飲食サーブス業※1
  • 農林水産省庁設置の食品産業特定技能協議会の構成員であること
  • 外国人支援計画を実施すること※2
  • ※1 営業許可を要しない施設での就労も可能
  • ※2 支援計画の一部又は全部を登録支援機関に委託することができます。



居酒屋・レストラン等で働くための外国人材の給与

 上記在留資格「技術・人文知識・国際業務」、「特定技能」においては同職種同経験の日本人と同等な給与を支払わなければなりません。また、福利厚生についても外国人との理由で差別してはいけません。「特定技能」においても日本人と同等の給与に加え、支援計画の実施など人材を確保するための費用を加えると日本人以上のコストがかかるものなのです。


外国人が居酒屋・レストラン等で就労する場合の例外

  • 「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者」などの在留資格者は就労に制限がなく。どのような業務に従事してもかまいません。
  • 「留学」の在留資格者が資格外活動許可を得て、決められた時間内に働くことは認められています。従事する業務にも制限はありません。
  • ワーキングホリデー制度を利用して「特定活動」の在留資格者も従事する業務に制限なく働けます。
  • 参加団体が主催する試験に合格し「特定活動」の在留資格者が得た者も、決められた業務に従事することができます。

在留カード/ワーキングホリデー(特定活動)
まとめポイント
  • ホテルでの就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」がある。
  • 日本人と同等の給与を支払わなければならない。
  • 「特定技能」では外国人支援計画の実施を求められる。



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