就労ビザの申請手続き事例集
最終更新日:2024年9月29日 行政書士 勝山 兼年
事例①:一期目の決算を迎えていない設立間もない会社での申請 。
就労ビザの申請において、出入国在留管理局には雇用する会社の「決算書」や「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の写しを提出しなければなりません。これら書類は会社の事業規模を客観的に証明するものですが、会社の設立から期間がなく、一年間の事業の規模を証明できない場合については、別途に事業計画書を提出することになります。
事業計画書の内容については、金融機関から創業融資を受けるぐらいのレベルで詳細に作成します。そして、それら計画の実効性の証明を補完するために取引先との取引契約書の写しなども添付します。また、物販などでは扱う商品や保管している倉庫(在庫)の写真も提出し、事業の実態を多角的に証明する事になります。
事業内容の説明や採用する外国人が従事する職務が事業内容に関連性がある事を証明することをより詳細にします。
事例②:外国人が勤務する会社の業務内容が一般的ではない就労ビザの申請。
外国人を採用する会社の業務内容が特殊で一般的でない場合は、出入国在留管理局審査官に、まず、その業務についての内容を理解してもらわないと就労ビザは許可されません。
様々なニーズに応えるため、日々技術は進歩しておりますが、世間で認知されておらず一般的では無い商品を扱っている場合は、なぜそれが必要なのかを説明しなければなりません。
客観的に説明するために、商品や施工後の写真を添付したり、取引先との契約書の写しなども提出します。また、理由書には使用方法や購入対象者の分類なども明記します。通常の理由書以上の商品説明の割合を増やさなければなりません。
商品パンフレットやwebサイトのプリントアウトも添付しますが、無い場合はこれを機に作成する事をお勧めします。
事例③:過去にアルバイトの時間超過で出入国在留管理局に呼び出せれたことがる外国人の就労ビザの申請。
採用する外国人が、留学中のアルバイトにおいて、決められた時間を超過していることを入国管理局から指摘されたことがある場合には、そのまま就労ビザへの在留資格変更許可申請をしても、過去の在留状況が不良で申請内容に信ぴょう性が無いとの理由で許可されないことがあります。
このような状況では、採用する外国人には学校卒業後、一旦、在留カードを返納して母国に帰国してもらいます。そのうえで採用する会社が代理人となり在留資格認定証明書交付申請することを勧めています。在留カードを返納することで過去の在留状況をリセットし、不許可の理由にならないようにするのです。申請において不許可理由にはなりませんが、資格外活動の時間超過の事実については審査において斟酌されることにはなります。
事例④:高卒外国人の実務経験の証明だけで申請。
採用する外国人において、大学卒業者など就労ビザの基準に適合している人材を選択すれば許可を得やすいのですが、そうでない者でも会社の利益に貢献する変えがたい者を採用したい場合もあるでしょう。
就労ビザの適合基準は学歴の他一定の期間の実務経験を証明することでも可能です。採用する外国人の学歴が高卒であれば実務経験で証明することになるのですが、以前の勤務先から在籍証明書などを書いてもらえるかがポイントとなります。技能ビザなどでは虚偽の在職証明書を提出するものが多数いますので、出入国在留管理局審査官は審査のポイントにおいて実在の会社であるか、証明書がその会社が出したものかの真偽を重要視します。
実務経験年数が足りない状況であったならば、外国で業務が同じ会社に就業してもらい、その後年数を満たした時点で在留資格認定証明書交付申請するなど対応します。
事例⑤:専門学校卒業見込み外国人の申請。
新卒採用の専門学校卒業生については、就労ビザが許可されるのは専門士(専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程)の称号を付与される見込みの者でなければなりません。
専門士が付与される専修学校名及び課程:コースのリストは文部科学省のWEBサイトで確認できます。 年毎に異なりますので、注意してください。
また、専修学校の専攻課程:コースは、大学での科目より細分化されていますので、従事する業務との関連性が一致しているか慎重に確認しなければなりません。 外国人が学んでいる専攻課程:コースの内容をよく把握したうえで、資格該当性がある事を確認して採用しましょう。
事例⑥:日本語学校卒業生の就労ビザの申請 。
外国で高校卒業の者が、日本の語学学校を卒業しても、就労ビザの基準に適合しません。しかし、本国で大学を卒業している場合は、大学で専攻した科目に関連した業務に就く場合は、就労ビザの許可の可能性があります。また、社会人としての一定期間の実務経験があれば、同様に関連した業務であれば許可の可能性があります。
もし、上記の事がなければ、大学に進学するか、文部科学省が認めた専修学校で学び、専門士(専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程)の称号が付与されれば、就労ビザの適合基準を満たすことになります。
日本語学校卒業だけの方からの就労ビザの相談があれば、さらに進学するよう勧めさせていただいております。
事例⑦:転職した外国人の就労ビザの申請。
同業他社から求人に応募してきた外国人を採用する場合は、例え在留期限が残っていたとしても、そのまま、就労ビザの基準に適合しているかは知りえません。在留期限が迫って、在留資格更新許可申請をしても、更新が許可されるかは勤務している会社の個別の業務内容に基づいての事ですので、資格該当性があるか入念に審査されることになるのです。
もし、重要な案件を任している外国人の更新許可が成されないとなれば、会社の業務遂行に支障をきたすます。そのような事態を防ぐために、予め資格該当性があるのかを確認する手続が「就労資格証明書」交付申請です。「就労資格証明書」の交付を受けておけば、その時点での勤務先での業務について資格該当性がることを入国管理局が認めていることになるのです。
「就労資格証明書」交付申請手続きについては、就労ビザを得るための在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請と同様のボリュームになります。
事例⑧:コックが料理店以外で従事する場合の申請。
インド人を調理師としてインド料理店で働かせる場合 、技能ビザが必要です。しかし、カレーのルーを作る工場や、ミックススパイスなどを調合する食品加工会社に勤務させる場合は、レストランで就労させるより、勤務内容のタイムスケジュール表を提出しなければなりません。レストランであれば、従事する業務の内容は、店の開店時間は料理を作っていると推察できます。しかし、工場や加工場では一日の作業において、専ら「料理の調理または食品の製造に係る技能で外国において考案され、我が国において特殊なもの」をしている事を証明しなければならないのです。
商品の運び出しなどの倉庫作業や製造ラインのオペレーターなどの作業が多いとみなされれば、技能ビザに該当せず不許可となるからです。調理場や加工場の写真を添付する事も必要です。
事例⑨:自動車修理工場が採用した外国人をエンジニアとして申請をする場合。
採用する外国人が大学で機械工学などの学科を卒業し学歴要件を満たしていたとしても、自動車修理工場では手就労ビザが認められるのは困難でしょう。自動車車検の整備をするレベルでは理系の在留資格該当資格性にはあたりません。
ただし、クラシックカーなど特殊な自動車専門の自動車整備をする工場で、メーカーなどからの部位品の入手が難しく、特別注文する部品を設計するなどするスタッフとして採用するなどすれば就労ビザが許可される可能性があります。