外国人を採用する際の雇用契約書の書き方
最終更新日:2024年11月17日 行政書士 勝山 兼年
雇用契約書作成の際の注意点
労働基準法では雇用主は労働者に書面で労働条件の内容を通知することを義務付けされています。労働者が外国人であっても同様です。外国人が日本で就労する場合、日本人の配偶者など身分にかかわる在留資格出ない場合は俗にいう就労ビザを取得しなくてはなりません。就労ビザ申請の際には出入国在留管理局に上記の労働条件が記載された署名のコピーなどを提出する必要が有るのです。
雇用契約書と労働条件通知書の違い
雇用契約書は雇用主と労働者双方が契約内容に一致した旨のそれぞれの署名があります。一方、労働条件通知書は雇用主が定めた条件を通知するだけですので、労働者の署名はありません。労働基準法では雇用契約書を交わす義務はありませんのが、出入国在留管理局では申請者である外国人労働者が雇用条件を理解していると明確に判断できる、雇用契約書のコピーの提出の方が審査の上では有利です。
外国人ならではの記載内容
就労ビザ申請を目的とする契約書作成の場合は日本人の場合と同様、労働内容や契約条件などをしっかりと理解してもらうことも当然ですが、外国人だけに必要な記載もあります。
- 契約の効力発生と停止
就労ビザにおいての在留資格が許可されることが前提で無ければなりません。採用しても出入国在留管理局での審査に通らなかった場合外国人は働くことは違法です。雇用主側も働かせてしまうと不法就労助長罪と罰せられますので、そのことを雇用主、外国人双方が理解していること明記するために「本契約の効力発生は在留資格許可を得ることを条件とする」などの項目を記載しましょう。また、就労ビザの更新が許可されない場合には退職してもらうことも明記しておきましょう。
- 契約内容を十分に理解してる
日本語能力が乏しく、内容を理解せず署名していることも想像されます。実際に理解してもらうために英文は母国語で契約書を作成することで労働者側が安心できます。錯誤や勘違いがないことを示すために「私は労働条件等契約内容を十分に理解しいます。」の一文を明記しておきましょう。
給与について
在留資格資格申請において、会社内の同じ職種の日本人と同等の給与しなければなりません。同じ職種の日本人がいないからといって最低賃金を下回る金額でもいけません。就労ビザは高度で特殊な仕事を前提としておりますので、安い外国人労働者を雇用するというのとは趣旨が違うのです。
契約期間について
有期契約であっても就労ビザは許可されます。ただし在留期間は5年,3年,1年又は3月とあり、契約書の内容を超えての期間が許可されること難しくなります。長く働いてほしいのであれば、「契約期間に定め無し」の方がより長い在留期間が許可されます。
就労ビザの雇用契約の事例
- 有期契約での就労ビザ申請
IT関連を主な業務とするZ社は、新規アプリ開発事業を立ち上げ、プログラマーを募集したところ、マレーシア国籍のxが応募してくれました。面接を経て、Z社が求めるプログラミング能力を有していると判断し、Xを採用しました。新規アプリ開発事業は継続するかの判断は1年後としていたため、Xとの雇用契約書にも契約期間を1年としました。Xの在留資格は「特定活動」であったため、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更する申請をしました。無事、変更が許可されましたが、在留期間は1年でした。1年後にZ社ではアプリ開発事業を継続することに決まり、Xの仕事ぶりも評価されていましたので、改めて、Z社はXと雇用契約書を交わし、契約期間は定め無しとしました。Xが在留期間更新許可申請を行ったところ、更新後の在留期間は5年となっていました
- 雇用主は労働者と書面で契約しなければならない。
- 書面は雇用契約書の他、労働条件通知書でもかまわない。
- 雇用の開始時期は、「在留資格許可以降」としておく!
- 契約期間に基づいて在留期間が定められる!