台湾人を雇用するための就労ビザ手続き
最終更新日:2024年11月24日 行政書士 勝山 兼年
台湾人の特徴と国民性
台湾と日本との関係は1972年と中華人民共和国との国交樹立を機、国民党政府である台湾とは断行し、現在は正式な国交はありません。
70年近く日本の領土でしたので日本文化の理解があり、国民性もおおらかで親切です。仕事ぶりは丁寧ですが、融通の利かないところが難点です。仕事の指示はできるだけ細かく伝えるようにしましょう。
日本在留台湾人
日本に在留している台湾人の在日三世四世などの特別永住者が多くいます。台湾とはワーキングホリデー協定を結んでいるため、アルバイトしながら日本文化を体験しているの若者には在留資格「特定活動」を取得しています。その他、日本の大学や専門学校で学ぶ留学生や上記のワーキングホリデーで在留する者を採用する企業が多くあります。
留学生は決められた時間のアルバイトは認められています。台湾本国で大学等を卒業していなければ日本語学校を卒業しただけでは就労の在留資格に変更で来ません。さらに大学や専門学校に進学し、在留資格上学歴の上陸許可基準を満たす必要があります。
出入国在留管理局手続き
外国人が日本で中長期に在留するためには、活動に応じた在留資格を得る必用があります。台湾人を雇用した場合は就労活動をするための在留資格に取得してもらわないといけません。就労活動に応じた外国人を雇用した場合は事業主も不法就労助長罪の処罰の対象にとなります。
仕事別の在留資格
- エンジニア・プログラマー
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」に相当します。自然科学系の学科で学んだこと、CADオペレーション、IT技術関連などの資格があることが在留資格の資格該当性にあります。
- 通訳・翻訳
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」に相当します。自然科学系、文化系のどちらの学科で学んだことは問われません。在留資格該当性は日本語検定などの語学力を客観的に証明することが重要です。通訳・翻訳は国際業務にあたり、実務経験が三年を証明できれば在留資格該当性を満たします。
- ホテルでの勤務
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」に相当します。文化系の学科で学んだこと、TOEICなどの語学力を客観的に証明することが重要です。清掃やベットメイキングなどの単純労働をすることは、認められた活動とはみなされません。
- 調理師・コック
在留資格は「技能」に相当します。10年間の実務経験を証明しなければなりません。以前の勤務先よりの在職証明書が10年分揃えるかが重要です。
- 日本支社・支店の管理
在留資格は「経営・管理」に相当します。本国での経営経験が重要です。
※上記の在留資格「技術・人文知識・国際業務」に相当するもので、外国の関連会社で1年以上勤務したことのあるものは在留資格「企業内転勤」が認められる場合もございます。学歴要件が不要となります。
在留資格の取り方
留学生の採用
在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへの在留資格変更許可申請をすることになります。「留学」の在留期限までに申請が受理されれば、在留期限の日を超えても出国せず審査を待つことができます。卒業前の留学生は審査の結果通知は卒業を待ってなされます。
台湾からの呼び寄せ
在留資格認定証明書交付申請をすることになります。申請人である外国人は日本にいないため、雇用する会社の採用担当者が代理人隣申請することになります。学位記や成績証明書などの外国の書類に関しては日本語訳を添付する必要があります。
在留資格保持者の転職採用
すでに「技能」や「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持った外国人が、その在留資格に応じた活動を行うのであれば「所属機関に関する届出」で足り、在留資格手続きは不要です。ただし、在留資格に応じた活動なのかを確認するための方法として就労資格証明書交付申請をすることができます。就労資格証明書の交付を受ければ、次回の在留期間更新が簡素化されることになります。
台湾人の学歴
在留資格「技術・人文知識・国際業務」を得るためには日本又はベトナム本国の大学及び大学に準ずる学校を卒業していなく手はなりません。また、日本の専門学校を卒業し、専門士の称号の付与がある場合も認められます。なお、外国の専門学校を卒業しただけでは認められません。
台湾人就労ビザ取得事例
- 通訳として働く就労ビザ
Dさんは台湾の大学で経済学を学び学位を取得しました。また、日本語も履修し日本語検定N2に合格しました。一度行った日本旅行で日本の景色や文化に魅了され、大学卒業後、ワーキングホリデーを利用して日本でアルバイトをする生活をしました。アルバイト先は中国などアジア圏の国々と貿易をする商社でした。Dさんは中国語を日本語に翻訳したり、また、その逆に翻訳するなどをしました。Dさんおアルバイト先会社はDさんの能力を評価し、正社員で働かないかと勧めてくれました。ワーキングホリデーのビザは一年間限定でしたので、もう少し長く日本に居たいと考えたDさんは、就職を承諾しました。Dさんは一旦、台湾に帰国し会社の担当者が代理人となって在留資格認定証明書交付申請をしてもらいました。一か月ほどして、在留資格認定証明書が交付され、Dさんは日本に戻り「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを受取り、再び通訳翻訳業務で働き始めました。