就労ビザのための外国人の学歴
最終更新日:2024年8月9日 行政書士 勝山 兼年
大学・短大・専門士などを卒業するとは!?
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)において、重要な許可要件に申請人外国人の学歴があります。
入管法には「大学を卒業し、または、これと同等以上の教育を受けたこと」とあります。「これと同等以上」について解説します。
大学を卒業し、または、これと同等以上とは
- 日本
専門学校、短期大学、大学、大学院
- 海外
短期大学、大学、大学院
海外の専門学校卒業だけでは要件を満たしません。また、日本の専門学校卒業の場合でも「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されていることが必須です。
外国人が本国の大学を卒業
入管法の要件として「大学を卒業する」とは学位が授与されることです。日本の大学等を卒業した場合には学位が授与されますが、教育制度の違う外国では卒業=学位授与ではありません。海外の学校を卒業した外国人には卒業証書の他、学位記の内容を確認してください。
- 短期大学は準学士(ASSOCIATE)
- 大学は学士(BACHELOR)
- 大学院は修士(MASTER)または博士(DOCTOR)
上記文言を確認してください。外国人申請人本人が大学卒業といっても海外の場合は意味が異なる場合があるからです。(例:中国では学位認定試験があり、合格しないと学位は付与されずに卒業することもあるようです。)在留資格手続きにおいては客観的に証明しなければならず、学位記の原本を提出することになるのです。
専門学校卒業の場合
入管法の要件としての専門学校を卒業するとは
「従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと」
となり、「法務大臣が告示をもって定める要件に該当」は「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されていることです。日本語学校で学ぶ、留学生が将来日本の企業で就職したいのでしたら、大学に進まず、専門学校で学ぶ場合は「専門士」または「高度専門士」が付与される課程(カリュキュラム)があるコースに入学しなければなりません。
大学も専門学校も卒業していない場合
高卒や中卒など入管法の学歴要件を満たしていない人材を採用することになった場合、業務内容によってはその業務の実務経験が3年または10年あることを証明できれば就労ビザの許可の可能性があります。
- 通訳者として貿易商社で3年以上働いていた。
- 機械メーカーで10年以上設計業務に就いていた。
などです。証明の方法としては、在籍していた会社から在籍証明書の発行を受けることです。複数の会社でも構いません。トータルで在籍期間がそれぞれの年数以上だったことを証明してください。
あくまでも、在籍証明書などの客観的証明がなされることが必須です。以前に在籍した会社が無くなっていたり、不仲になって証明書がもらえない場合は実務経験での就労ビザは厳しいでしょう。
中国の短期大学卒業者
中国の大学で学位が取得できるのは本科を卒業したものだけです。ただし、「大学を卒業し、または、これと同等以上の教育を受けたこと」に同等するものとそて短期大学を卒業しているもの者も含まれます。学位が無くても短期大学を卒業している事を証明すれば良いのです。
中国の教育機関の名称として専科学校が短期大学にあたります。出入国在留管理局への証明として、専科学校を卒業した証明書の他、卒業した学校が専科学校である事の証明として「中国学歴・学籍認証センター」の証明書を添付することになるのです。
- 大学を卒業しているとは学位があること。
- 専門士、高度専門士も就労ビザの対象となる。
- 学歴がない者でも実務経験10年以上で就労ビザの対象となる。